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須佐神社

小童村誌 第五章 信 仰

第一節 神社

一 須佐神社

須佐神社 甲奴町小童 宮部一〇七三番地
旧称 牛頭天王杜 祇園杜

1.祭神 須佐之男命(素蓋嶋尊)

2.由緒
須佐神社の由緒を記した文章は、文明元年(一四六九)に、麓山城主長綱時が記した「須佐神社縁起」と、宝暦七年(一七五七)に、神宮寺の社僧であった食道が記した「小童祇園杜由来拾遺伝」が遺されている。それによると、宝危五年甲寅四月(七七四)、天下に伝染病が流行し人々が恐々としている時、この地に小さい童(わらべ)が馬に乗って現れ、「我は邪毒鬼神(病気の神)本地妙見菩薩なり、この地は須佐之男命(牛頭天王)鎮座の地であったが今は祀っていない、再び祀れば伝染病は静まるであろう」と託宣した。託宣を受けたこの地の里人は、御殿を建て、六月一四日に旗や鼓・笛・鉦を打ち囃して神を諌めた。それより日々に伝染病は治まり、近郷の村々から多数の崇敬者が参詣するようになった。

須佐神社は、延喜式式内社ではないが、延喜式よりも前に編纂された「日本三代実録」の貞観三年(八六一)十月二十日の項に「備後国正六位上の大神神(おおみわのかみ)と天照真良建雄神(あまてるますらたけおのかみ)に従五位下を授く」と記されているが、この大神神は庄原市の丑寅神社であり、天照真良建雄神は須佐神社である。したがって、須佐神社の創建は大変古いことが分かる。

3.社殿
ア 本殿 一間社神明造 銅板葺 間口二間 奥行二間 大正一三年(一九二四)再建 イ 弊殿 三間社権現造(間口二二尺四寸、奥行二四尺三寸) 屋根は千烏破風・唐破風付の入母屋造で銅板葺 元禄九年(一六九六)に再建 ウ 神楽殿( 一一・五九坪)  エ 御供所(六坪) オ 社務所 昭和五年(一九三〇)郷社昇格記念に新築(二九坪) カ 祇園会館 昭和四五年(一九七〇)新築(三〇坪) キ 回廊 元禄一四年(一七〇一)建立(二八坪) ク 神輿舎 元は神宮寺の鐘楼(四・一坪) ケ 大鳥居 両部鳥居 寛永一〇年(一六三三)建立 コ 随神門(一坪)

4.例祭
ア 例大祭 七月第三日曜日より三日間 旧暦では六月一四日から三日間であったが、新暦となり七月一四日からに変更され、更に、昭和四六年(一九七一)から現行の期日となった。通称「小童の祇園さん」と呼ばれている。以前は、県北最大の祭りと言われるほど参詣者が多かった。

〇渡御 初日の正午、上下町の矢野神儀団(広島県無形民俗文化財)が、神儀総代を先頭に、一番片屋組・二番宇根組・三番郷組・四番芦尾組の順に宮入りする。神儀団は一二人の監督が指揮し、総勢一七〇人位で組織される。(矢野神儀については、資料1を参照されたい) 一四時ごろより、子ども神輿・三体神輿・矢野神儀・大神輿の順に、御旅所である武塔神社へ渡御。

○宵祭り 二日目の夕方、下谷・宮部・政広・垰の集落により、神殿入りが行われる。以前は、甲奴本郷・西野地区より神殿入りがなされていたが、現在は中断している。

○還御 三日目の一四時、氏子が奉仕する小童神儀が、春日井の「道切り」と「山車」・頼藤の「獅子舞」・塩貝の「山車」・市場の「山車」の順で、武塔神社へ宮入りする。ただし、塩貝と市場の順は一年毎に交代する。武塔神社での祭典後、子ども神輿・三体神輿・小童神儀・大神輿の順に本社へ還御。この際、庭打ちされる「塩貝八王子社大神楽極打太鼓」は、町無形民俗文化財に指定されている。
(例大祭については、資料2を参照されたい)

イ 的弓祭 一月七日 (資料3を参照されたい)
ウ 忌串刺祭 七月一日(資料2を参照されたい)
エ 新嘗祭 一一月二三日
オ 夜籠り 八月六日夜 上下町井永地区・吉舎町清綱地区の崇敬者によって行われる。

5.境内杜
ア 小童神社 祭神 足那槌命手那槌命(櫛稲田姫命の両親)社殿は明和二年(一七六五)に再建(棟木墨書)、須佐神社の旧本殿で、現在地に移築された
イ 波梨要神社 祭神 櫛稲田比売命(須佐之男命の妃)。大神輿はそれ自体が一つの神社である。(大神輿については第六章第一節を参照されたい)
ウ 厳島神社 祭神 市寸島比売命(須佐之男命の娘)
エ 日吉神社 祭神 大山咋神(須佐之男命の孫)
オ 客人神社 祭神 豊石窓神 櫛石窓神
カ 伊勢神社 祭神 天照大神 外九柱の神
キ 合併杜 天御中主神 外一二柱の神 籠り堂と称されいた時、眼病の人々が平癒祈願に龍もった。平成元
年(一九八九)に再建された。
ク 金神社 祭神 金山比古神 金山比売神 金属(鍬・鎌など)の神
ケ 疫除(えやみよけ)神社 祭神 須佐之男命 伝染病防止の御利益
コ 水波売神社 祭神 水波売神
サ 大荒神 祭神 須佐之男命
シ 祖霊社 伊達氏祖霊(須佐神社旧社家) 矢田氏祖霊(字賀上野山城主)

6.棟札
須佐神社現社殿(幣殿)棟札

棟札の詳細

注 他の棟札については、第二章を参照されたい。

7.文化財 天然記念物
(第六章第一節 県・町指定文化財、第四節 天然記念物を参照されたい)

(文責 福原 勲)

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編集後記